BFI(Brain-Finger Interface)
コラム:“神経痛”の嘘③
矛盾だらけの“変性”神経
変性下にある神経は刺激に反応しやすい状態になってはいますが、種々の実験の様な人工的な刺激は現実の生体内に起こることはまずあり得ません。
そのため現代医学が考えるような頻度で“異所性発火”が生じることは特殊なケースを除き、あり得ないと思います。
動物実験では、あらかじめ神経に強い外力を加えたり、傷つけたりすることによって人工的な障害を作っておき、その上で神経に種々の刺激を加えて電気生理学的な反応を見ます。
人為的に障害を作り出した実験モデルと現実の生体に起きている現象が、なぜ同じだと言えるのでしょうか?
異所性発火というものは、通常の神経生理現象を逸脱した極めてイレギュラーな警報システムであって、神経本来の役割とはかけ離れた現象です。
生体の中にはペアンもコッヘルも存在しません(当たり前です)。
さらに現代医学は追い打ちをかけるように、
「神経は変性すると、それだけで自ら異所性発火を起こす」
とまで言い放っています。
神経の圧迫が長時間に及ぶと、代謝機能が低下して徐々に変性する
↓
変性が進むと脱髄-神経を包んでいる絶縁体が溶けてなくなる-という現象が起こる
↓
この結果、絶縁が保たれていた神経同士がショートして、あるいは新たなイオンチャネル(イオンの通路)が形成されて、そこから異所性発火が起こる
つまり「神経は圧迫によって変性し、自ら異所性発火を起こす」と現代医学は言っているのです。
...いやいや、ちょっとおかしくないですか?
「正常な神経を圧迫しても痛みにならない」ことはお話ししました。
圧迫の時間が長くなれば、痛みを起こすことなく“沈黙の麻痺”となります。
実際の臨床(ハネムーン麻痺やギプス固定による麻痺など)がそれを証明しています。
今まで現代医学は、神経痛という概念と矛盾するこの事実を積極的に取り上げることはありませんでした(事実上の隠蔽?)。
ところが「無症状の椎間板ヘルニア」の存在が表面化してくると、無視し続けることができなくなり、論理的な整合性を持たせる必要に迫られました。
そこで、「単純な圧迫では痛みが出ない」ことを証明する実験を行い、掌を返したかのように辻褄を合わせたのです。
さらに別の実験データを引き合いに出して「神経は変性すると自ら痛みを発信する」と言い放った上で、「正常な神経への圧迫は痛みにならないが、変性した神経を圧迫すると痛みが出る」と主張し始めたのです。
これで無症状のヘルニアに対する説明が一応可能になりましたが、所詮“付け焼刃の後づけ論理”です。
すぐにほころびが出ます。
つまり、
A『正常な神経の圧迫⇒変性⇒脱髄⇒麻痺(痛みなし)』
という流れを認めておいて、一方では
B『正常な神経の圧迫⇒変性⇒脱髄⇒異所性発火⇒痛み』
だと主張し、さらにそのうえで
C『変成した神経⇒圧迫⇒異所性発火⇒痛み』
だと論破しているわけです。
もしも現代医学の言うとおり上記すべてが成立するなら、脱髄があっても痛みのない症例(A)と痛みのある症例(B)が併存する理由について合理的な解釈が必要です。
さらにこれらの考えにしたがえば、脱髄をおこしている神経がその時点でさらに圧迫を受けると、内外側からの被害が重なることになります。
異所性発火が二重発生(ダブルアクション)することになりますが、この場合の臨床所見はどういうものなのか?といった説明も必要になるでしょう。
異所性発火は、内的要因(脱髄)によるものと外的要因(圧迫)によるものがあると現代医学は主張し、かつ臨床で遭遇する数多の痛みを異所性発火(=神経痛)だと強弁します。
しかし「痛みのない変性神経」と「痛みのある変性神経」の違いを現代医学は明確にしていません。
これはヘルニア問題が抱える「痛みのない変性椎間板」と「痛みのある変性椎間板」の違いをいまだにきちんと説明することができない整形外科の現状を象徴している
“捻れ論理”であり、現代医学が抱える“大いなる矛盾”のひとつです。
続きはまた...お退屈様でした。